【在庫】をうまく
コントロールできるかが
利益増減の岐路である!
小売業の利益改善コンサルタント、
中小企業診断士の専田政樹がおくる、
店舗の利益改善 虎の巻、
ついに【50巻】です。
何度か危機がありましたが、
なんとか続いています。
読んで下さっている皆様、
本当にありがとうございます。
さて前回から、
在庫(=商品)の幅についての
話に入っています。
前回の話のように大きな意味で
お客様に品揃えの方向性を
感じ取ってもらえたとしたら、
次はより魅力を感じて
貰えるようにする為の手法論です。
自分がお客様として、
お気に入りの店に行ったことを
想像してみて下さい。
品揃えが良いと
評価をしているお店です。
お店のタイプによって
話が変わってきてしまうので、
よりわかりやすくするために、
ケーススタディで考えてみましょう。
あなたが今度初めて
海外旅行にいくことになったとします。
経験者はその当時の事を
思いだしてみて下さい。
あなたは、
まださほど詳しく調べていない段階で
ふと気が付きました。
長期滞在用のスーツケースを
もってない事に。
そこで近くでもっとも品揃えが良いと
イメージしている店に、
行ってみる事にしたのです。
こんな場合で、
どんな品揃えの手法を取っていたら
お客様に響くでしょうか?
接客サービス等が必要なのは
言うまでもありません。
行き先、季節、滞在期間、同行者、
様々な条件を販売員さんと相談しながら
商品を見分けていきます。
さてどんな状態であれば魅力的でしょうか?
この店は品揃えがいいと言ってもらえる状態は
どんな状態でしょうか?
おそらくみなさん「複数の選択肢」を
欲しているはずです。
条件を絞っていった結果、
1つしかなくなってしまった。
うーん、ちょっと違うんだよなぁ…
でもこのサイズだとこれしかないんだよなぁ…
というケースだとどうでしょう。
ひとまず他も見てみよう…となるでしょう。
そしておそらく、
この店には戻ってきません。
一方、条件を絞り込んだ結果、
選択の幅が複数あったらどうでしょう?
しかもそれぞれ甲乙つけがたく、
適正な幅であったならば…
滞在期間を逆算するとこのサイズだと、
きまったとして、その他の条件はどうか?
ソフトタイプだとこれかこれ、
ハードタイプだと3種類あって、
1番高いものは素材がよく防犯性に優れていて、
ワンランク落とすと鍵の修理がかわるのか…
なるほどなるほど、
あとは自分がどのタイプにするのがいいかを
決めればいいわけか…
こんな感じだとしたら
「もう少し旅行の内容を詰めたらまた来るか…」
となりますよね。
適正な選択肢が揃っている事が重要だという訳です。
その際につかわれる手法もいくつか定番的なものがあります。
・AB併売
同一のアイテムについて
2つの商品を併売する手法です。
片方は質の良いもの(価格は高め)
もう一方は安価なもの(質はおちる)
両方あれば好みに合わせて選択できる…
という考え方です。
ただし同質の2種類を並べてしまうと
あまり効果がありませんので、
注意が必要です。
メーカーが違うだけで価格も質も
あまり変わらないものでは意味がないのです。
・松竹梅
先のAB併売の効果をさらに高める手法です。
消費財の場合、AB併売をやると、安価なタイプの方が
数量が売れる事が多く、質の高いものは数がでません。
そこでお客様にもう一つ上のランクの選択肢を示すことで、
質の高い商品を選択しやすくさせる効果を産みます。
重点的に売り込む商品で、且つ単価が高めのもので
実行する事が効果的です。
例えば、「土用の丑の日」にうなぎを買いにいくとします。
1パック980円の「C国産うなぎ」と、
1パック1780円の「日本国産うなぎ」が
ならんでいたらどうでしょう?
※わかりやすくする為にわざと価格は離してあります。
お財布事情は色々でしょうが、
これだけ価格が離れていると、
ちょっとひるみませんか?
考えちゃうなあ…という人が多いと思います。
信頼性、安全性の問題やらもあるかとは思いますが、
ヘタをすると、「別にうなぎでなくていいか…」と
いう事になりかねません。
せっかく興味はあったのに…
さてここで、
もうひと種類増やしてみましょうか?
「最高級日本国産天然うなぎ 2280円」を加えます。
C国産 980円、
日本国産 1780円
同 天然 2280円
不思議なもので、
2280円はちょっと手がでないけど、
1780円のだったらいいかなぁとなる訳です。
それぞれの品質の差がしっかりと
わかるようなケースで有効です。
他にもデザインで幅をだす場合、
機能で差をつける場合など、
色々ありますが、
重要なのは、にたりよったりの
商品をならべても効果がでない事です。
お客様にとって、
比較対象として意味のあるものでないと
効果はでませんのでご注意下さい。
ということで、
在庫の奥行きにつづいて、
在庫の幅のお話を致しました。
次回は在庫の話の仕上げ、
相乗積についてです。
「奥行き」×「幅」に対し
どのくらい利益がでるのかを
計画しながらすすめるという話です。
これができれば、
利益体質はさらに高まります。 (^^ゞ
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