【豊玉高校の悲劇!南・岸本にはインクルージョンは起こらなかった】スラムダンクに学ぶ

【SLAM DUNK】に学ぶインクルージョン!

【インクルージョンとは】?
まだ日本には馴染みのないこの言葉、
名作に学ぶ事でわかり易くお伝えして参ります。

スラムダンクに学ぶインクルージョン第5弾!

【豊玉高校の悲劇!南・岸本にはインクルージョンは起こらなかった】

組織戦略とチームの不適合により
豊玉高校の悲劇は起こった。

インクルージョンとは、
人と人とが活かし合い、
相乗効果により成果を上げる事。
しかし、組織戦略と組織を構成する
1人1人の考え方が融合できず、
拒絶反応を起こしてしまうと
戦略がない時よりも
厳しい結果がまっている。

エースキラー南、
そしてある意味存在感抜群の岸本、
豊玉高校主戦力の3年生は
前任の監督北野の
ラン&ガンスタイルに憧れて、
もっと言えばラン&ガンをやりたくて
入学してきたメンバーだ。
大阪予選では圧倒的な得点力を誇った。


しかし北野監督時代に全国出場は果たし
常連校にはなるが、全国ベストエイトより先に
いつまでたっても進まない状況に
学校経営陣が痺れを切らす。

投資対効果を考えるとバスケの場合、
ベストエイトではダメ。
ラン&ガンスタイルでは
エイト止まりでその上は難しい‥‥
という判断から監督交代に踏み切る。

この人事に反対するメンバーは直訴を断行。
しかしメンバー達の希望に対し、
経営陣は全く応じる気はない。
まぁ、普通に考えれば
高校生とはいえ生徒(子供)の言う事を
そのまま受け入れる事はないだろうが…

そして、就任時の挨拶で新任監督金平が
前任者を軽んじる発言が火に油を注いだ。
「前任者はどうだったかわからないが、
俺は厳しいから覚悟しろ」と。

ここで止めておけばいいものを
更に余計な一言がトドメを刺した。
「豊玉は全国トップクラスの
オフェンス力はあるが、ディフェンスはザル。
これからはラン&ガンを捨て
ディフェンスを強化する」と。

これで、カチーンときてしまったメンバー。
埋まらない溝ができてしまった。
前任者の影は徐々に薄まっていくもの。
後任者が指揮をとる時に前任者を
批判するのは諸刃の剣である。
そういう話は経営陣とだけ
していればいい話であるが、
こともあろうに前任者を支持する
子供達に直接ぶつけたのである。

この後、選手達は
監督の指示は無視し、
ひたすらラン&ガンで
ゲームを進めていく。
事前のスカウティング情報すら
素直に聞くことができないレベルまで
コミュニケーションレベルは悪化。
※初めからずっと…だったのかもしれない

大阪予選決勝で、
ロースコア展開に
もちこまれ敗れた後も、
対策は講じられていない。
そもそもミーティングすら
できる状況にないのだ。

湘北対豊玉のゲームは
早い展開では基本豊玉ペースだった。
前半の入り、後半の入りともそうだった。
しかしゲーム中、流川潰しを敢行した
カリメロ南の心の葛藤から
シュートが決まらなくなり
チームはバランスを崩していく。

エース南が失速している間に、
湘北はスコアを積み上げリードを築く。
豊玉は、焦りも含めバラバラになり、
タイムアウト時には監督金平が
岸本をゲーム中に殴る。
そして「どうせ俺はクビだ…」と。
興奮しているとはいえ、
もはや教育者から逸脱している。

一方、南は流川へのアタックが不発に終わり
負傷し、治療のため一時退場。
その際に前任の北野元監督との
コミュニケーションシーンがある。
北野氏曰く、いま小学生に教えている。
小学生にもラン&ガンを?との南の問に
北野は、「ラン&ガンなんてしろものではないが、
とりあえず楽しそうにやっとるわ」とニッコリ。
これを聞いて心を取り戻した南。
コートに戻り「楽しむ」という前提を、
思いだすや連続スリーポイント。
このあたりはさすが。

しかし間に合わず。
間に合わない。
残念ながら1回戦で湘北に敗れ
姿を消すことになった。

チームが根本的な部分で
不協和音を起こしている時には
メンバー同士が活かし
合うことは難しい。
同じ目的をもてない時は
同じ方向を向く事はできないからだ。
何本矢を用意しても
バラバラに飛んでいては効果はでない。

ビジネスシーンでも同じだ。
個々が業績を上げること以外に
目標を与えられていない、
本人ももっていない、
もっと言えば企業側と従業員が
互いに目標の擦り合わせが
できていない、
そんな状況下では、
みな個人プレーに
走らざるを得ない。

下手をすると足の
引っ張り合いをして
ライバルの業績が下がる事で
自分の順位が上がる、
なんて考え方も発生する。

組織全体の戦略と目標、
1人1人が持つ個人の価値観、
夢、目標、希望‥‥
この一致幅を広げる事で
ベクトルは同じ方向を向き始める。
逆にPDCAで言うPの部分で
組織と個人の計画の擦り合わせが
うまく行かないと空転してしまうのだ。

ここをしっかり押さえないと
組織はうまく機能しない。
豊玉高校の例でいけば、
監督はラン&ガンへのこだわりを
途中で受け入れるべき
だったのではないか?
小さなイノベーションは同業から、
大きなイノベーションは異業からだ。
例えばサッカーにたとえて考える。
しっかり守って、
ボールを奪ったらカウンターで
スピードを持って一気に攻める。
サッカーの場合カウンターを、
ラン&ガンとは言わないが、
ロースコアの展開に持ち込まれた場合と、
状況はかなり近い。
ポゼッションタイプの敵が、
ジワジワ攻めてくる感じは、
敵がラン&ガンに乗ってこず、
ペースダウンし、ハーフコートバスケに
徹してきた時と近い状況だ。

監督金平は、大阪予選の決勝で敗れた後、
この形に追い込まれた時でも
勝てる力をつけなければ
優勝はできないと選手に説くべきだった。

選手達の価値観を認め、
良い所を受け入れ、
さらに強くなる為に、
新たな力を加える方向に
導いてあげて欲しかった。
そういった意味では、
実に悲しい結末だ。
結果、何も進歩しないまま、
湘北戦を迎えたことは
チームの雰囲気からも容易に
想像がつく。

インクルージョンを
発動させる為には
仲間の存在を認め、
個性や能力を認めることが
前提条件になる。
戦略と1人1人の意識が
咬み合わなければ、
チームとしての相乗効果など
そもそも起きるきっかけすらない。
豊玉がリズムにのっているのは
早いテンポのハイスコアゲーム。
自軍の戦略がそれを否定していては
うまくいく筈がない。

マネジメント役は、
チームとして結果を出すために、
個々の選手の意思の尊重する事を
バランス良く考えなくてはならない。
迎合する必要はないが、
存在を認め、機能(得手)引出だすのだ。

この先の危機はすでに予測できている。
少子高齢化の進展、
生産年齢人口の減少、
目の前に迫る介護ショック……
働く人の人数は減り、
時間と場所の制約が増えるなか
互いが活かし合わなければ
日本の未来は拓けない。
【子供達に「明るい未来」と「豊かな社会」を! 】
そのためには「インクルージョン!!!」

バックナンバー
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【海南高校の2人のシューターは啓発の組織風土が産みだした】~スラムダンクに学ぶインクルージョン!

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元中学MVP、三井寿編【三井寿の翼は他己承認によって羽ばたく】

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ボス猿、魚住純編【魚住インクルージョンの目覚め… 遅きに失す】

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流川楓編【流川楓が沢北栄治を抜き去るシーンにおけるインクルージョン】

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