お客様となが~くお付き合いする【顧客生涯価値-14】⑭

GMS(ゼネラルマーチャンダイジングストア)=総合量販店=総合スーパー
もう時代遅れで必要のない業態なのだろうか?そんなことはないはずだ!!

小売業の利益改善コンサルタント、
中小企業診断士の専田政樹がおくる、
店舗の利益改善 虎の巻、【105巻】

年明け、4日の日経新聞にGMS最大手イオングループの
GMS業態の改革についての記事が掲載された。

一方、もう1つの雄であるセブン&アイのイトーヨーカドーは、
8日に現社長の降板と前任者の再任が発表された。

現在ビック2である両社の業績は正直厳しい。

イオンのGMS業態の実績は添付のリンクを見て欲しい。
http://www.aeon.info/ir/finance/segment.html

四半期で黒字になった期はない。
昨年度の段階で年間16億円の赤字だ。

一方セブン&アイ陣営イトーヨーカドーは
第三四半期を終え、144億円の赤字。
ここまでくると12月にどこまで上積みできるかで
状況はさらに深刻となる。
年末商戦で利益を上積みできれば乗り切れるのかも知れない。
しかしこのタイミングで経営者の人事異動がでるという事は、
12月に宣言していた結果を出せなかったという事だろうか?
その結果辞意を表明したと
捉えてもそうおかしな解釈ではないはずだ。

一般論で言えば、
2大企業である両社が苦しんでいる事で
業態限界説の信憑性が増してくるわけだが、
それは本当なのだろうか?

業態という意味で
両社に通じる強みと弱みを考えてみると、
幾つか共通点がある。

まずは業態としての特性をあげると
①大型の箱物を用いた多店舗展開
②勢力拡大期に短期間で大量出店
③基本的にはセルフ販売
④恒常的に価格変動を行う販促

マーケティングの4Pでいうと
プレイス、プライス、プロモーションにあたる部分だ。

そして、近年の両社の共通点にはもう1つ、
プロダクトに相当する商品戦略がある。
PB(プライベートブランド)戦略だ!
方向性や技法についてはそれぞれ特徴があるが、
結果だけ見れば両社はそれぞれの特徴を
打ち消しあうかのように、同質化をしている。
例えばモール戦略を早々に打ち出したイオンに対し、
セブン&アイは当初GMSが限界なのではなく、
マーケットの変化に対応できていない事を問題視し、
モールはやらないと宣言していたが、
いつしかモールを出店するようになり、
現在の新規出店は、モールか、
小型食品スーパー型のどちらかになっている。

PBではどうか。
こちらもイオンが先行し、
低価格PB路線を定着させたが、
複数のラインを持っており
品質についてもかなりの幅を持っている。
セブン&アイ側は、
高品質路線に特徴をもたせているが
NB商品と同質低価格という
コンセプトの商品もあわせもっており、
こちらも幅広い。
どちらもグループ店舗で
積極的に販売しており、
様々な店舗で、
そして広範囲で入手できる。
いずれも現段階までくると、
明らかに先行者利益と呼べる段階に達しており、
今から真似をするのはかなり苦しい。
歴史とともに積み上げてきた強みでもある。

しかし、これだけの武器を抱えていても利益がでない。
では弱みは何なのだろうか‥‥。
両社だけに限った話ではない。
バブル崩壊以降それまで強者であった
量販型企業が軒並み苦戦してきた要因でもある。

ダイエー、長崎屋など既に舞台を去ってしまった店も多い。
量販店のウィークポイントである。
いずれも共通しているのは、
右肩あがりのマーケットが得意で、
そのノウハウを蓄積してきた事だ。
出店しさえすれば売上が伸びて行く状況を得意とする。

逆に出店した店の業績が上がらないと、
途端に苦しくなる。
苦しくなった時に打つ手が逆に自分達の首を絞めていく。
例えばカンフル剤としてのセールの乱発。
短期的に数字を上げる効果があるが、
前述④のように価格の上下が激しくなるため、
信頼性を低下させ、顧客は値下げ待ちをするようになる。

営業時間の拡大策も業界全体が進めたが、
かかるコストに対し伸びた売上、粗利が小さく
収益性を悪化させた。
そして人員は営業時間全体に引き伸ばされ
販売体制は手薄になった。
延刻分に見合った収益が出ないため人を入れられないのだ。
いつしかレジにしか販売員がいない店が増えていった。

そしてこれは私見であるが、
トドメになったのは従業員の非正規化の推進であろう。
OJTを中心に体で学び、伝承をする事で蓄積していた
ノウハウが人員体制が脆弱になる事で途切れていくのだ。
これを10年以上続ける事で現場力は急激に落ちていった。

D社が本部社員の人員整理をした時の
新聞記事にこんな話がでていた。
恐ろしいベテランバイヤーがいなくなり、
若手に変わった事で折衝が楽になった。
若手はわかってないから‥‥
取引先の声である。

これでは店頭の商品力まで落ちてしまう。
下がった人件費に見合わないダメージが広がっていくのだ。

そしてもう1つ共通点がある。
人、物が弱り、業績が落ち始めると投資が滞りだす。
老朽化に対するコストがでなくなる。
大量出店期の店舗の老朽化が見えてくると、
数が多いだけに手が打ちきれなくなる。

こうして人、物、器にダメージがたまると、
かつてドル箱だった店の力が衰える。
皆さんにも、子供の頃よく行った、
賑わいを誇っていたあの店が、
今いくと「見るも無残」という
シーンに出くわした経験があるだろう。

ではこの先どうなるの?という話であるが、
冒頭でかいた年始の新聞記事等によると、
両社は対極の施策を打ち出している。

目新しい話ではないが、

イオンは総花的な品揃えから脱却し、
地域に適合した、専門性の高い店作り、

セブン&アイは40店舗を閉鎖し、
利益の出る体質への転換を図るという。
現在のマーケットを捉えればどちらも正統派の施策だ。

問題はこれで立ち直るのか?という事だ。
どちらも現状を打破する為の
施策というポジションで話をしているが、
その策が実行に移された時、
課題が解決するかどうかが重要だ。

イオンの場合は地域対応が、
全店舗で実行に移された時、
各店の業績が上がるのか、
また現在個店で赤字の店舗が
黒字転換を果たす事ができるのか?

セブン&アイのGMS事業において、
40店舗閉鎖したあと残った店の業績はどうなのか?
各店かしっかりとお客様の指示を得て、
業績が回復する事なくして未来はない。
実際には「言うは易し、行うは難し」だ。

しかし総合スーパーの存在は地域生活には欠かせない。
無くなってしまったら困るのだ。
目の前に迫る少子高齢化社会、
今後社会構造が激変していく中で、
生活用品の購入先は社会インフラだ。
買い物に行く足が無い生活者にとって、
最期の砦になるはずだ。
国民生活の安定の為にも、
是非いい形で勝ちのこって欲しいのである。
当ブログからもエールを贈りたい。

がんばれGMS! (^_-)-☆

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著者プロフィール

専田 政樹(弟)
専田 政樹(弟)中小企業診断士
7&iグループ出身。
大企業10年、中小企業10年のマネジメント経験を活かし、制度構築、業務改善、人材育成等で企業支援にあたる。
企業在籍中に管理部門責任者として営業利益▲3%から1年で+0.5に改善した実績をもつ。
多様な人材の能力を引き出し相乗効果を出すダイバーシティマネジメントを専門分野とし、既存人材活性化を得意とする。