今回は「過去データ」を使って
売上を考えるというテーマで綴る、
私の体験に基づく事例研究の後編です。

小売業の利益改善コンサルタント、
中小企業診断士の専田政樹がおくる、
店舗の利益改善 虎の巻、
【35巻:店舗事例② 後編】です。

さて前回のラストでは、
週販でせいぜい15個か20個の
アイテムを初回100個入れた後、
即100個追加し200個確保した事、
それを見ているまわりの仲間は、
無謀な取組に感じ、冷ややかに見ていた…

という所までお話をしました。

さて、その後どうなったか…

いかに売れない店だといっても、
マーケットに合った商品を
お客様に伝わるように、
「売れる仕掛け」の条件を整えれば
実際に売れるのです。

今回のメインターゲットは
前話(34巻)で取り上げた
共働きで世帯年収800万~1000万の
時間にゆとりのない層です。
その為、
前の章(STEP3の売場作りをテーマにしたもの)で
お話をした、
「見やすく、買いやすく、わかりやすい店作り」で、
「短時間でぱっと購入できる事」に魅力を感じています。
じっくり細かく伝えないとわからないようでは、
買わずに帰ってしまう人たちです。

その方たちに合わせた売場を作ります。
売場の先頭から目に入り、
あそこになにかあるなと思わせる仕掛け、
そして実際に注目してもらえるように、
その商品を展開している什器内は、
他商品を全て抜き出し、1品番でかためます。
そしてレジ付近の場所に寄せて設置します。
その結果、遠方から見つけてくれた人以外も
レジに向かう途中で「あれっ」と感じ
その商品が目に入るのです。
もちろん購買に直結します。

さてこんな書き方だと、
どちらかというと、
「マーケティング」と
「売場作り」のお話っぽく
なってしまうのですが、
本章は「過去の売上データの活用」が
テーマです。

この時に効果を発揮したのが、
過去データの分析に基づく、
色とサイズの分布(量のバランス)です。

売上数量が少ない単品を、
数量が売れる単品と同じように
在庫として抱えてしまうとどうなるか…

一定期間が経つと
数が売れない単品だけが残って
まったく売れなくなってしまいます。

食品でいえば、高齢客層はファミリー用に大量に
パッキングされた肉は食べきれないので買いません。

一方で若い家族は、量を食べますし、
経済的にもさほど余裕はありませんから、
高齢者向けの少量、高品質、高単価のものには
手を出しにくいわけです。

どちらかが売り切れ、
片方だけになってしまえば、
一方のお客様は買うものが
なくなってしまいます。

そして放おっておくと
その状況は更に進み、
片方の企画の中で
買いやすいものが先に売れ、
サイズや脂身などのバランスで、
不人気だったパックが残ります。
こうなるともう全く売れなくなります。

そんな事を考えながら、
過去の実績データの中で
有効な部分を抜き出して
分析をします。

気温の変化も捉え、
どの時期にどんな売場にするかを
計算し、計画することが重要です。

この事例のアイテムで
徹底しておこなったのが
色×サイズでの売上数量の
バランス付けです。

品番単位の売上の総数量を計画するために
まずは商圏の小ささを考慮して、
正価での販売期間を3週間に設定します。
これ以上はキャパオーバーで
売れなくなるという分析を、
別途過去データから蓄積しています。
ここが1つ目のポイントです。

そして次に総量を計画します。
今回の場合は正価で180個売るぞ!
という具合です。
普通はせいぜい週販15個というものを、
この商品は期間計で180個売るぞ!…という話。
この方法なら実際にいけそうだ…
とまで確信にはいたらないとしても、
目標値の設定は重要です。
在庫は先に述べた通り200個押さえています。

ここから2つ目のポイントです。
品番総量を単品に落とし込みます。
サイズバランスを、
販売期間の設定にあわせて、
シミュレーションし
それぞれ適正な処理を
していきます。

ポイントは、売れて徐々に
在庫がなくなっていく事を想定して
後半、残ってくる色、サイズを
どう設定するかです。
ここが勝負の分かれ道です。

この時は、売上数が多い
どまんなか本命の単品が
数が残るように設定をしました。

端っこがきれたら若干追加をします。
※メインの商品は追加がきかなくなるが、
売れない端サイズは少量なら追加しやすい
背景があります。

それによってお客様が色サイズを
選べる状態をキ‐プし続けます。

最終的に仕掛けた3週間はその商品が、
近隣30店舗くらいで
くくられる業績管理の単位グループ内で
商品分類内で最も売れた品番となりました。
その中で、我が弱小店舗が
並み居るライバル店を押しのけて
売上1位を獲得しました。
売れない店で絶対数で1位をとるというのは
非常に難しいことなのですが、
見事に1位に輝きました。
週販は50個を超え、
3週で160個弱がうれました。
残った商品はバランスが
崩れなかったので
そのまま正価で売り切り。
着地もピッタリと
決まりました。( ^ω^ )

この時のデータ分析手法をいかして、
これ以降のマネジメント業務では
色サイズ分布のパターン表を作成しました。

自分でやるのではなく、
みんなにやってもらう為には、
会話がしやすい状況を作る
必要があるからです。

その為にはパターンを作って
当てはめていく事が、
都合がよかったわけです。

たとえば4つのサイズが
ある商品だったとしたら、

パタ-ンA→1:2:2:1
パタ-ンB→1:2:4:3
パタ-ンC→2:3:8:5
パタ-ンD→3:5:15:10
パタ-ンE→3:10:15:8

こんな感じで分析結果をもとに
パターンを組んでいきます。
この色はA、この色はCを少しアレンジ、
という具合にミーティングをして決めていきます。

現場で1番難しいのが分析に基づいた
数量設定をする事です。

いちいちそんな事やっている余裕がないからです。
なので、どこかのタイミングでまとめて
やっておいて、それをアレンジしながら使うと
効率がよい訳です。

上記の数量をみていただくと、
ちょっとした特徴をもっている事が
わかると思います。
先の話しで記した、
売れると踏んでいる
サイズの部分の量が極端に
多くなっていると思います。
これがポイントです。

2週間、3週間と経過する毎に、
最も売れるサイズが
どんどんなくなっていきます。
その結果売れないサイズだけが
残ってしまった場合
最終的に大きな値下げロスや廃棄を産み、
利益がのこらないパターンとなってしまいます。
これを防止する訳です。

例えば、
服のセールのコーナーで
シーズン末期になると
大きいサイズや小さいサイズだけが残って
極端に値段が下がって
販売されているケースを
みたことはありませんか?

あれが1番の問題で、
この結果、売れ筋が切れる機会ロスと、
残品を処分する値下げロスが
同時に発生するのです。
ここを上手くコントロールすることが、
利益を残す為に重要なポイントになるわけです。

過去のデータの統計をもとに、
売れ筋の残がのこる数量設計をするのです。
この手法はサイズベース以外でも
色ベースなど統計がとれるものなら
様々な切り口で有効な手法です。

一方、消費量がそもそも安定的でない
トレンド性が強いものや、
流行りものなどには向きません。

とう事で実需型の商品では
是非試していただきたい使い方です。
お役にたちそうでしょうか?  ( ^ω^ )

人にまつわる問題や悩みを抱えていませんか?

著者プロフィール

専田 政樹(弟)
専田 政樹(弟)中小企業診断士
7&iグループ出身。
大企業10年、中小企業10年のマネジメント経験を活かし、制度構築、業務改善、人材育成等で企業支援にあたる。
企業在籍中に管理部門責任者として営業利益▲3%から1年で+0.5に改善した実績をもつ。
多様な人材の能力を引き出し相乗効果を出すダイバーシティマネジメントを専門分野とし、既存人材活性化を得意とする。