制度構築における業績評価指標の設定方法を考える-お客様の支持を高めるアクションを引き出すには?ー株式会社せんだ兄弟社

業績目標、および人事評価において、
売上高、粗利率と粗利額のどれを判断基準にするか?
 

今回は仕事における「目標設定」がテーマです。
先日小売業会の方があつまる会議に
出席した際にこんな話がありました。

店長職は利益責任で評価し、
現場のスタッフは売上高で評価されている為、
なかなか話が合わず、
アクションがかみ合わない…というお悩みです。

私の意見としては全員利益で評価をし、
業務を組み立てる事を推奨しますが、
個人別業績を利益で実施するには
個別PLが必要になり
業種によってはなかなか難しいのが実態です。 


今回は小売業を事例に、
「粗利率」「粗利額」「売上額」で
それぞれ目標設定した時に
どのような影響が起こるか、
事例を踏まえてお伝えしていきます。

 

そもそもの話をすれば、かつての小売業で、
物不足の売り手市場だった時代は
「売上を伸ばせば後から利益はついてくる」と
言われていました。

人口は増加局面にあり、
経済も発達期で市場そのものが
大きく成長していたからです。

 

一方で現在はというと、
これまでの警鐘が鳴らされていた・・・という状況から、
ついに実際に人口減少局面に入り、
経済も成熟し右肩上がりではなくなりました。
がむしゃらに働けば売上が伸び、
利益がついてくる時代ではなくなりました。

 

売上はお客様の支持のバロメーター、
利益は仕事のマネジメントのバロメーターと
いわれる事がありますが、
確保可能な売上から利
益をどれだけ捻出する事ができるかを、
しっかりと考えていく事が重要な時代になりました。

 

あげた利益から店舗環境等へ再投資し、
店舗運営も時代に合わせて進化をさせていかなければ、
地域に住むお客様の暮らしを、
継続的に支えていく事はできません。

 

さて、ここからが今回の本題です。
こういった視点からとらえると売上だけでなく、
利益視点で発想していく事の重要性が見えてきます。

その一つの切り口として「粗利率」を踏まえ
「粗利額」で仕事を設計していく事が求められるのです。

この3つの中から選ぶなら、
粗利額を目標にすることを推奨します。
目標設定や評価の基軸において、
何故「率」が参考で「額」を重視するかというと、
「率」を判断基準とすると
お客様視点で品揃えを
判断しなくなるからです。

では具体的に考えていきましょう。 

 【粗利率発想の場合】
  100の売上に対し、粗利率40%を目指す。  →結果粗利額は40

 【粗利額発想の場合】
  100の売上に対し、粗利額40を目指す。   →結果粗利率は40

 【売上発想の場合】
  売上を頑張って確保すれば、
自然と粗利もついてくるからとにかく売上を作る

 

いかがでしょうか?
③売上はともかくとして、
①と②は一見、同じような話を
しているように感じます。

実際はアクションが
全く異なってくるので注意が必要です。


これは実際にあった話です。
まずは率で発想してみましょう。
粗利率40%達成をマストの目標とした場合
あなたならどのようなアクションを起こすでしょうか?


方法はいくつかあります。

①粗利率40%を超える商品を展開する

お客様目線で考えるならば、
売価を変えず、品質を落とさず、
粗利率を高めるのであればOKです。

自分が買う側の立場になったら当然のことでしょう。
企業努力で利益体質を高める事は何の問題もありません。

しかし一歩間違えると、
品質を変えずに売価を高める、
或いは売価はそのままで
品質を落としてしまうケースがでてきます。

前者はただの値上げ、
後者は品質の低下です。

売る側の都合で商品サービスのクオリティをさげています。
VE(ヴァリューエンジニアエンジニアリング)を
誤って実行している事例と似た現象です。

 

②粗利率40%未満の商品は展開しない

恐ろしい事にこれも実際にあった話です。
特に扱う商品の幅が広い店舗ほど注意が必要です。

実際にどんな事が起きたかというと、
そもそも「値入がとりにくい商品は扱わない」
というお客様を完全に無視したアクションが発生しました。

全体として粗利40%を目指すという方針を立てたとして、
50%のものもあれば、30%のものもあり、
総平均で40%を確保すれば良いのですが、
40%の目標を達成する為には
40%未満の商品を扱わなければ良いという発想に至り、
品揃えをカットしてしまいました。

このような事をすればお店は支持を失っていきます。
結果としてお店は不便に改悪され、
客数は徐々に減っていきます。

粗利40%は達成できても、
売上が90になれば粗利額は36となり
結果として利益は減少してしまいます。

大きな組織で評価軸の設定を誤ると
お客様不在のアクションがおきてしまうので
注意が必要です。

 

次は額で発想してみましょう。
粗利額を達成させるためにはどうしましょう。

①粗利率の高い商品をたくさん売る
これを売れば効率よく粗利額が取れる…
という商品を工夫して売り込むアクションです。

②粗利額が減ってしまう(原価割れ)商品を販売しない

稼いだ粗利が減っていくということは、
原価を割っているという事になります。
例えば死筋商品を処分する際に
丁寧に値付けをする事や、
(価格対価値のバランスに注意しきめ細かく対応する)
販促の際の値付けに
注意をするといったアクションがあげられます。

客数を増やす為の施策として
原価を割るような事態はなるべく避けた方がよいでしょう。

逆に言えば客数を増やす効果がるのであれば、
一定程度までの価格訴求も
効果があると判断することができます。

つまり自由度が高まり、
お客様に対して
響く施策をうつ事への
縛りが小さい状況をつくります。

一方で注意が必要なのが、
販管費の上昇でしょう。

粗利額を増やせば
何をやってもいいわけではありません。
人件費、販促費の増加を招けば
粗利額が取れても最終利益は残りません。

この話は粗利から
さらに踏み込んだ利益発想を
テーマとする際に扱います。
 

他にも打ち手はありますが、
結果としてこちらの発想をして
極端に結果がふれた場合、
売上120で粗利額40
結果粗利率33.3%といった
結果が表れる事もあります。

ですが、経費を含め投入された
経営資源が等しければ、
粗利額は確保できている為、
目標利益を捻出することができます。
 

ちなみ売上市場主義では、
原価割れの販促など低粗利商品の発生が
是とされてしまう為、売上120
粗利24で粗利率20%といった状況も
是とされてしまいます。

 

いかがでしょうか…。
いずれも自身が経営者であれば
こんな発想はでてこないでしょう。

売上立てたって儲からないなら
やってもしょうがないだろう…とか
粗利率を確保することは
手法であって目的ではないよね…
と普通に感じます。

最終結果に対して
責任がある立場なので
そもそもこんな議論にはなりません。


一方で組織運用について
目標設定をあやまると、
本来進むべき方向とギャップが
発生してしまうケースがでてきます。


今回のテーマでいけば、
粗利額での設定を推奨していますが、
仕事の考え方に対する指示を出す場合、
日常業務の仕組み作りを考える場合、
あるいは人事評価制度を考える場合などでは、
商品サービスを提供する事で
お客様にどのような価値を届け、
どのような貢献をするかを考え、
そこに向けて誘導していく
仕組みとして考えていく事が重要です。

 

皆さんの職場は
お客様満足を高める事に向け、
ベクトルを統合できていますか?

是非一度見直しをしてみてください。(^^ 

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