サッカー日本代表を、ダイバーシティマネジメント視点で考える Vol.2

先日、サッカー日本代表VSシンガポール代表戦の話をもとに、ダイバーシティマネジメントについての考察のお話をさせて頂きました。今回はその続編となります。

ちなみに前回の記事はこちらです。ハイライトもくっつけてるので動画も参考に!

という事で今回のテーマはこちら 「Number Web 日本代表コラム」より

悪徹底管理がコンディション化に?ハリル流の日本版を見つけて欲しい

大きな主旨としてはこんな感じです。

思い出すと今でも複雑な思いがよみがえるブラジルワールドカップのコンディション不良はまだ記憶に新しい(ワタシだけ?)ところですが、今回のシンガポール戦でも同じような事がおきていたという話です。

まずは「ハリル監督」の今回の選手管理についての記事の抜粋です。

■以下ハリル監督

「息が詰まるような」徹底管理がマイナスに出た?

最高の準備をしてきたはずなのに、何故。

ハリルホジッチは「いい準備をしていけば、偶然などない」と語っていた。彼の言葉を借りるなら、準備に何か見落としたものがあったから偶然は起こったのだと言い換えることができる。

見落としたものとは何だったのか。

指揮官からすれば徹底管理による準備に、抜かりなどなかったはずである。シーズン後の疲労度を測定して個別でトレーニングの強度をコントロールし、ピッチ外でも食事、睡眠をプログラムした。部屋間を移動禁止にして体を休ませるなどハリル流の管理は以前のコラムで「息が詰まりそうな」と紹介したが、日々のトレーニングの後も、夜は連日のようにミーティングが行なわれていたという。

監督の熱心、厳格さはチームに伝わり、選手たちもその熱意に応えようとしていた。チームの雰囲気は良く、一体感もあった。だが敵将にチームの疲労感が伝わったとすれば、ピンと張りつめた緊張感の維持が、結果的にシンガポール戦はマイナス面で出たことになる。

体の疲労は測れても、メンタルの疲労は数値で測れるものではない。結果論を承知で言わせてもらうなら、ムチばかりでなく「アメ」を与えておく必要があったのかもしれない。

個性の強い選手が多い欧州やアフリカでの指導経験。

朝の食事のことで言えば、後任のハビエル・アギーレは朝の食事は一緒に取るというスタンスだった。「朝寝坊した選手に対して怒った」などとの新聞記事が躍ったこともあった。しかし後に彼は、ザック時のルールに戻している。その理由を協会スタッフに聞くと「日本人は真面目だから、そこまで管理しなくていい」とアギーレは説明したようである。

個性の強い選手ぞろいの欧州と、集団性、勤勉性のある日本人選手ではそもそもアプローチが異なってくるのかもしれない。

想像するに、欧州やアフリカで指導してきたハリルホジッチは厳しく管理することで個性の強い選手たちを束ね、強くしてきた。食事の時間、部屋に戻る時間を含めてすべて管理するやり方、サッカー漬けにしてしまうやり方を日本にも当てはめていこうとしている感じがある。

過ぎたるぐらいがちょうど良かった欧州、アフリカに比べると、対日本人となると本当に「過ぎたるが過ぎたる」になってしまう可能性はないのか。

■ざっくりいうと

要は個性の強い欧州や、規律を浸透させなければならないアフリカ流なのでは?という話ですね。そこには科学的なコントロールも加わり、「これは行けるだろう!ブラジルの時のようなことはもうないぞ!」と思っておりました。ブラジルではアメリカなどと比べ科学的な根拠をもったコンディション管理が不足していたのではないかと感じていた為、これでもう大丈夫だと・・・・

さて、次は同じ件についての岡田監督の管理手法についての記事の抜粋です。

■以下岡田監督

岡田武史監督は「非管理」をベースにしていた。

南アフリカW杯で日本をベスト16に導いた岡田武史監督(現FC今治オーナー)は、ピッチを離れれば選手たちが宿舎でいかにリラックスできるかを心掛ける、「非管理」をベースにした指揮官であった。管理を最低限に抑えることはガス抜きの意味のみならず、プレーの責任感、アイデアにもつながってくると踏んでいた。

のちに彼は中国スーパーリーグ杭州緑城の監督を務めているが、ここでは選手の自立を促進するために寮の門限を撤廃するなど「脱管理」のマネジメントを施していた。この意図を尋ねると、彼はこう語っていた。

「自陣で敵が2人いるディフェンスで1人がボールホルダーに行ったら、もう1人にはカバリングを考えたポジションを取れ、と俺は言う。でもボールホルダーがディフェンスに対しておどおどしていたなら、カバリングはいらないという判断も出てくるし、もっとおどおどしているヤツだったら2人とも奪いに行けばいい。

自分の責任で判断するのが選手。奪いに行ったら、意外と(相手が)うまくて抜かれるということもそりゃあるよ。でも最悪なのは、監督がここにいろって言ったからって何も考えずにカバリングしているヤツ。それは俺に言わせりゃ選手じゃない。日ごろの生活で人に言われたことだけやっていたら、試合のなかでも責任を持って判断できなくなる」

あくまで杭州緑城の若手選手に向けた話ではある。だが、シンガポール戦の消極性を見るにつけ、何か少しつながっているような気がしてならなかった。W杯予選の経験を持つ選手が多いなかで、初戦の重圧が消極性の理由などにはならない。たった2週間、たった1週間で影響がどれほどだったかは別にしても、指揮官の要求をこなそうとする選手の強い意識と、徹底管理のプログラムが多少なりとも、疲労感と消極性の要素になった可能性は排除できないのではないか、と。

■ざっくりいうと

日本人監督が日本人を管理しようとした時に考えた事は、「管理を最低限にする事」とのこと。さすが代表選手はこのレベル!しかし一方でワタシが思うのは、これが弱小の高校野球部や、アマチュアチームでも同じように結果が出せるかというと、当然ちがうという事です。チームの状況やレベルに応じて適正な管理レベルというものがありますよね。

さて次はザッケローニ監督の場合です。

■以下ザッケローニ監督

レクリエーションデーを作ったザッケローニ監督。

「アメ」とはリラックス。

ちょうど3年前。アルベルト・ザッケローニ率いる日本代表は欧州のシーズンが終わって間もない今回のようなタイミングで、ブラジルW杯アジア地区最終予選の3連戦を迎えた。ホームでオマーンに3-0、ヨルダンに6-0、そしてアウェーのオーストラリア戦で1-1と上々のスタートを切った。

当時のザッケローニも、シーズンを終えた欧州組を早いタイミングで集めている。ただし名目は「練習会」で自分は参加せず、フィジカルコーチを派遣して日々の状況を報告させる手法を取った。自分が行けば、選手も本番モードになることを懸念したのかもしれない。

国内組も集まった全体練習は予選一発目のオマーン戦までの約2週間。今回のハリルジャパンより1週間も準備期間が長く、選手側から「負担を減らしてほしい」との要望を受けてある日の練習をフットバレーなど“レクリエーションデー”に充てたこともあった。練習時間はほぼ2時間以上で、練習試合で主力を叱りつけるなど「ムチ」を見せる一方で、こういった「アメ」も忘れなかった。

規律を重視しながらも、宿舎での自由時間は基本的に本人たちに委ねていた。朝の食事も決められた時間内に各々が食べればいいというルール。大人の選手に、大人の対応をするのがザック流であった。

■ざっくりいうと

という事でザッケローニ監督は「規律+自律」という感じでしょうか?ただし、この後続く話ではザックがこの手法に落ち着いたのは、監督就任から1年半との事。やはり時間を掛けて日本代表、ひいては日本人のメンタルを時間をかけて理解した段階でこのような手法に落ち着いたという事です。

さて、3人の監督の事例をあげましたが、要は日本代表の場合は、「多様な能力を持つ人材の、潜在能力を伸び伸びと発揮させる」事を目指し、選手個々が「自律」した状況へ進めていくのが良い方向なのではないか?という事です。さてこのセリフ、企業経営でも同じワードのままですよね。「組織全体のヴィジョンに沿って、多様な人材が能力を活かし、伸ばしチームとして連動しながら成長していく」という事です。社内における一部の既得権益者層が、自己の損得で、「本当のような嘘を付き、自己正当化をする」事に経営者がだまされて、事業がすくすくと成長しない・・・・そんな実態はないでしょうか? 自社メンバーの特徴を良く理解して、限り有る人材資源を活かし、伸ばす!成功の為にとても重要な要因ですよね。これぞまさにダイバーシティマネジメント(多様な人材の活用)&インクルージョン(組織として一体的、且つ有機的な活動)!でもそこには客観的な視点が欠かせません。その為の支援者も組織には必要かもしれません。ふと自社の企業としての「強み」や「いいところ」を見つけてくれる味方も重要な存在です。そんな味方がいる企業はおそらく強くあり続けるでしょう。日本代表もそうある事をねがいます。

最後に「頑張れニッポン!」(^^ゞ