【海南高校の2人のシューターは啓発の組織風土が産みだした】~スラムダンクに学ぶインクルージョン!

【インクルージョンとは】?
まだ日本には馴染みのないこの言葉、
名作に学ぶ事でわかり易くお伝えしていくブログ、第4弾!
新年のご挨拶と合わせ更新致します。
2016年も宜しくお願いたします。

スラムダンクに学ぶ!!

【海南2人のシューターは啓発の風土が産んだ組織力】

第四弾は、人と人とが力を活かし合い成果をあげる、
インクルージョンには欠かせない、能力開発の事例。

私が海南のツインシューターと呼んでいるのは
神宗一郎と宮益義範の2人の事である。

まずは県予選では1試合平均30.3得点を記録し、
得点王になり、ベストファイブにも入った神宗一郎。

湘北対海南戦で語られる
神宗一郎の入学当時のエピソード。
当初はセンター希望。
タッパはあってもヒョロヒョロで、
監督高頭が大丈夫かと心配するほど。
練習で何度も吹っ飛ばされる。
その姿を見て、センターは無理だと高頭自ら勧告する。
監督本人のコメントでも高校生には
ショックな言葉だった筈だと語っている。

しかし、すぐに気持ちを切り替え
シューターの道を選んだ彼は、
綺麗なシュートフォームをもっていた。
この後徹底的な修練を積み、
ベストファイブに入る活躍をみせたわけだ。
バスケットは、バビット(習慣化)スポーツ。
繰り返しトレーニングをして、
体に染み込ませることで精度が上がる。

さて、では彼はいったい何万本の
シュートを積み上げたのだろうか?
1日500本を欠かさないという話から計算すると
10日で5000本、1か月で15000本、
なんと1年で18万本である。
シューター転向が何月かは表現されていないが、
1年の夏前に転向して7月から練習したとして
この時2年の彼は、5月までに約10ヶ月があった。
概算でインターハイ予選までに15万本以上
シュート練習をしてきた事が予測される。
花道が合宿シュートのトレーニングを積んだ時が2万本、
当然神にもそういう日があるだろうから、
おそらくこんな数ではすまない本数を重ねてきたはずだ。

そして、もう1人のシューター宮益。
神でさえ上背はあるが身体能力に
優れているわけではないという評価が大勢のなか、
宮益は輪をかけて、上背はなく、走れるわけでも、
清田のように飛べるわけでもない。
それでも強豪海南で生き残り
ユニフォームを勝ち取る。
シュート力で勝ち取ったベンチ入りだ。
このレベルまで際立って1点突破すると、
実際にゲームで活躍するシーンが出てくる。
将棋でいうところの、桂馬や香車だ。
飛車角のように縦横無尽に働くわけではないが、
相手を詰めていく際に、ここぞという時に効く。
しかも後天的なトレーニングによって
積み上げ身につけた力である。
普通なら3年間どころか、
1年の夏には辞めてしまう身体能力の設定だ。
こういうメンバーがチームを支えることが、
監督高頭が、
「海南に天才はいない。だがうちが最強だ!」
と誇れる所以だろう。

この2人のシューター。
もし神がセンターに挫折した時に
諦めて辞めてしまっていたら‥‥
もし宮益を入部時の
体力テストで落としていたら‥‥
優勝チーム海南の姿は
全く変わったものになってしまう。
もっとキャプテン牧のワンマンチームとなり
下手をすると連覇も途絶えていたかもしれない。

監督が才能を見出した・・・
まではいかなそうなエピソードではあるが、
努力する選手を受け入れ、その良さを後押しし、
評価をする懐の深さは
この監督の才能であることは間違いない。

では、ビジネスに置き換えた時はどうだろうか?
成長を個人任せにして放置したり、
教育カリキュラムにのせるだけで、
フォローがなかったり、
社内のポジション争いのウェイトか高まり、
人間関係、派閥関係の方が重要視
(エネルギーをさいているという意味)
されたりしている事はないだろうか?

今後直ぐに迫ってくる、
少子高齢化社会と、生産年齢人口の激減‥‥
今の生産性を保つには、1人が、
何役もこなさなくてはならない。
それぞれが、自己研鑽を続け、
能力を磨き、後天的に一騎当千、
もしくはスペシャリストになる事。
これもインクルージョンを
成功させるために不可欠な要素である。

人と人とが互いに活かし合う
インクルージョンにおいて、
その成果を高める為には
1人1人の力そのものを、
高めていくことも重要だ。
ただしそれは、必ずしも
初めから持っている必要はない。
後から高めていけばいいのだ。
既存人材で組織を活性化していく為には、
1人1人のパワーアップ、
能力向上の取組や自己啓発を
奨励する文化風土が重要になる。

その必要を感じることができないと、
FAや海外有力選手を補強して
勝利を目指すチームのようになってしまう。
そういったやり方を否定しているのではないが、
そんな財力をもっている組織はマレだからだ。

そうなるとポイントになるのは、
まず基礎トレーニングによって、
一定上の能力を身につけるまでの間、
落伍者を出さないことだ。
これは初心者や新人への精神的な配慮である。
習熟度にあわせ、教えかたを変化させ、
徐々に権限委譲をする事で、
やりがい、責任感、改善力等を
自ら発揮できるように背中を
押していくことが重要だ。
そして前回の三井の話のように、
承認をしていくことも本人の成長を後押しする。
結果がでる前でもプロセスを承認する事で、
本人は自分の努力を信じて
進むことができるようになる。

配慮すべきは新人だけではない。
すでに世の課題となっている育児による時短や、
今後でてくる介護による時短も同様である。
センターの希望がかなわずポジションを変えた
神が配属の希望が通らなかった
新人のような例だとしたら、
例えはあまりよくないかもしれないが
運動能力の低い宮益はさしずめ後者だろう。
本人だって好きで身体能力が低いわけではない。
実際にスピードも高さもスタミナも足りない。
しかし体力を高めるトレーニングはしっかり
取り組んできたからこそベンチにいるのだ。
そういう意味でいうと、
時間に制約を受けている時短社員が、
業務効率を挙げるためにあらゆる努力をし、
生産性を高め成果をあげるケースに似ている。
その可能性に蓋をせず、
活かす為の方法を考え実行していくことで、
組織は力を増していくのだ。
そういう意味では宮益の存在、活躍は
正に「インクルージョン」の源泉である。

この先の危機はすでに予測できている。
少子高齢化の進展、
生産年齢人口の減少、
目の前に迫る介護ショック……
働く人の人数は減り、
時間と場所の制約が増えるなか
互いが活かし合わなければ
日本の未来は拓けない。
【子供達に「明るい未来」と「豊かな社会」を! 】
そのためには「インクルージョン!!!」

バックナンバー

↓第3弾:
元中学MVP、三井寿編【三井寿の翼は他己承認によって羽ばたく】

↓第2弾:
ボス猿、魚住純編【魚住インクルージョンの目覚め… 遅きに失す】

↓第1弾:
流川楓編【流川楓が沢北栄治を抜き去るシーンにおけるインクルージョン】

man shooting basketball into the basketball hoop
Photo by Cameron Casey on Pexels.com