賃金制度の作り方|給与テーブルの前に考える「何に対して払うか」【中小企業向け】

給与テーブルを作る前に会社が何に対して賃金を払うかを決める賃金制度設計の考え方

「自社にあった賃金制度の作り方を知りたい」「今の賃金制度を見直したい」

そう考えたとき、賃金制度の作り方として最初に気になるのは、

  • 基本給はいくらにするか
  • 何等級に分けるか
  • 昇給幅をどうするか
  • 給与テーブルをどう作るか

といった話でしょう。

もちろん、最終的には決める必要があります。

ただ私は、いきなり給与テーブルから作り始めることはおすすめしていません。

その前に、一つ決めたいことがあります。

会社は、社員の「何」を重視して賃金を払いたいのか。

社員が担う役割なのか。

実際に起こした行動なのか。

身につけた専門能力なのか。

また、職種によって給与の考え方を変える必要がある会社もあります。

ここが曖昧なまま金額だけを決めると、

「なぜ、この人の給与は高いのか」

「何をすれば給与が上がるのか」

「同じ等級なのに仕事が全然違うけどいいのか」

といった疑問が、あとから出てきます。

それは、社員のストレスや不公平感の原因にもなります。

賃金制度は単なる金額表ではありません。

会社が社員に何を期待しているのかを、給与という対価に翻訳する仕組みです。

※「うちはどのタイプか」を先に知りたい方は、記事内の12問診断(約3分)からどうぞ。

納得感ある賃金制度の作り方|「いくら」の前に「何に」払うかを決める

賃金制度の相談では、「うちも給与テーブルを作りたい」という話から始まることがあります。

そこで私は、「その給与は、社員の何に対して払うのでしょう?」と聞きます。

すると、

「能力かな」

「成果じゃないか」

「管理職なら責任の大きさでしょう」

「技術職なら資格や経験かもしれない」

と、いろいろ出てきます。

最初から一つに決まっていなくて構いません。

大切なのは、自社が何を重視して処遇するのかを意識して決めることです。

市場相場も重要です。

ただし相場は、いくら払うかを考える材料であって、何に対して払うかを決めてくれるものではありません。

自社の人材戦略と、賃金制度の作り方をつなぐには、その一歩前の整理が必要です。

賃金制度の作り方で押さえるべき「評価基軸となる3要素」

賃金制度には、さまざまな考え方があります。

ここでは、自社の賃金制度を整理するために、まず評価基軸として重要視されることが多い3つの切り口で考えてみます。

1|役割

一つ目は、社員が担う役割や責任を重視する考え方です。

たとえば、

  • より大きな仕事を任せる
  • 責任範囲が広がる
  • 人や組織をマネジメントする
  • 複数の現場や顧客を担当する

といった変化を給与に反映します。

担う役割が大きくなれば、給与も上がる

という考え方です。

2|行動

二つ目は、社員が実際にどのような行動を起こしたかを重視する考え方です。

知識や能力を持っているだけではなく、

  • 顧客の変化に気づいた
  • 新しい提案をした
  • 改善を続けた
  • 周囲を巻き込んだ

といった行動を見る。

私はこれを、

「できるか、できないか」だけではなく、「やったか、やらないか」

と説明することがあります。

市場や顧客の変化へ迅速に対応することが求められる業種では、特に重要な視点です。

3|専門能力

三つ目は、社員が持つ専門性や技能を重視する考え方です。

  • 専門知識
  • 技術
  • 高度な技能
  • 市場価値
  • 人材としての希少性

などを処遇に反映します。

専門性を高めれば給与も上がる。

管理職にならなくても、専門家として処遇を上げられる。

こうしたキャリアを用意したい会社では重要になります。

もう一つ見るべき「職種別配慮の必要度」

この3要素とは別に、

職種によって給与設計をどこまで変える必要があるか

も確認しておきたいところです。

営業、設計、施工、エンジニア、管理部門など、性質の異なる職種が複数ある会社では、全社員を同じ給与構造だけで処遇しにくいことがあります。

一方、職種ごとに別制度を作りすぎれば、管理は一気に複雑になります。

この「どこまで分けるか」も、賃金制度を考える重要な論点です。

給与テーブルを作る前に会社が何に対して賃金を払うかを決める賃金制度設計の考え方

賃金制度の作り方と設計思想|賃金構成には、会社の「人材観」が表れる

では、実際にはどのような設計になるのでしょうか。

4つの架空企業で考えてみます。

※以下の事例は、実在の特定企業をモデルにしたものではなく、複数の企業で見られる典型的な状況をもとに構成した架空事例です。

A社|想定業種:ビルメンテナンス業 ― 役割を重視する

A社では、まず現場の仕事を正確かつ安定して行うことが重要です。

一方、会社が成長するためには、

  • 現場をまとめる
  • 複数拠点を管理する
  • 人を育てる
  • 部門の方針を考える

といった、より大きな役割を担う人材も必要です。

この会社なら、次のような構成が考えられます。

  • ベースとなる基本給
  • +役割の大きさ・責任範囲に応じた役割給【賃金差の中心】
  • +仕事を正確かつ安定して遂行し続けたことを、基本給等の昇給に反映
  • +業績成果は賞与

安定した業務遂行を昇給に反映し、役割が広がれば処遇を大きく上げる設計です。

仕事の入り口では、地味であっても、定められた業務水準を安定・継続できることに価値を見出します。

一方、給与水準そのものの大きな差は、

「どこまでの役割を担うか」

でつけていきます。

参考記事:役割等級制度の設計手順

B社|想定業種:小売業 ― 行動を重視する

小売業では、商品知識を持っているだけでは十分ではありません。

天候が変わる。

競合が動く。

顧客ニーズが変わる。

その変化に気づいて、「では、こうしてみよう」と動ける人材が必要です。

私は以前、小売業の現場と本部の両方にいました。

そこで何度も見てきたのは、同じ売場、同じ商品を扱っていても、行動が変われば成果は大きく変わるということです。

例えば、天気予報を見て翌日の売場を変更する。

違いは、知識の差だけではありません。

変化に気づくか。そして、気づいたあと行動に移すか。

「できるか、できないか」ではなく、「やったか、やらなかったか」。

こうした意味で重視したいのが、実際に起こした行動の質と量です。

さらに、自分だけで動くのではなく、周囲を巻き込み、チームの行動につなげられるか。ここも重要になります。

こんなB社なら、次のような考え方ができます。

  • ベースとなる基本給
  • +実際に起こした行動の質×量を、昇給に強く反映【賃金差の中心】
  • +役職など特定の責任を担った場合の役割給
  • +成果連動の賞与

B社:この会社の賃金設計イメージ

成果として業績も見ます。

ただし、「売上が上がったから高評価」だけではありません。

どのような行動を積み重ねた結果なのか

まで見ていくのが、この会社らしい設計です。

A社との違いはここです。

A社は役割が大きくなったときに給与差が大きくなります。

B社は、同じ役割の社員同士でも、実際に起こした行動によって給与改定に差をつけます。

補足|行動評価を昇給へどう反映するか

昇給には、毎年一定額を積み上げていく考え方だけでなく、高い評価の影響を一定期間とし、評価のたびに給与水準へ反映し直す考え方もあります。

いわゆる「積み上げ式」と「洗い替え式」です。

行動を重視する会社では、過去の評価を永久に積み上げるより、現在の行動評価を処遇へ反映し直す方が、制度の狙いに合う場合もあります。

C社|想定業種:デジタルマーケティング支援業 ― 専門能力を重視する

C社では、専門人材の力が事業競争力そのものです。

データ分析、広告運用、SEO、クリエイティブなど、専門性の高い人ほど市場でも評価されます。

こうした会社で、「給与を上げたければ管理職になってください」だけでは、専門人材のキャリアを作れません。

そもそも、「管理職には興味がない」「自分には向いていない」と考え、専門技術を磨いてきた人もいます。

そんな人に管理職しか道がない制度を強いることは、逆効果になりかねません。

こういったケースでは、専門能力に着眼した仕組みを作ります。

C社:この会社の賃金設計イメージ

  • 共通基本給
  • +専門能力のレベルに応じた専門給【賃金差の中心】

さらに、専門能力に複数のグレードを設定し、能力が高まれば給与も段階的に上がる仕組みにします。

このタイプでは、社内基準だけでなく、人材市場を見ることも重要です。

極めて希少性の高い人材については、通常の給与テーブルだけではなく、市場価値も考慮し、個別の専門手当などを検討することもあります。

さらに、高度専門職をどう位置づけるかも論点になります。

従業員として専門性を発揮する立場なのか。あるいは、経営に近い立場として管理監督者に該当するのか。

ここでは、賃金の考え方だけでなく、労働時間管理の考え方も合わせて検討する必要があります。

なお、年俸制は賃金の支払い方の一形態であり、年俸制にすれば割増賃金が不要になるわけではありません。

この点は実務でも誤解されやすいため、制度設計時には注意が必要です。

※専門職の市場水準を確認する際は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」など、公的な賃金データも参考になります。

管理職以外のキャリアを用意する複線型人事制度

D社|想定業種:リフォーム・住宅設備業 ― 職種ごとの違いに配慮する

D社には、営業、設計、積算、施工管理、現場作業、メンテナンス、調達、事務など、性質の異なる職種があります。

だからといって、職種ごとに完全に別の賃金制度を作ると、管理が複雑になります。

そこで、

会社共通の給与の土台を持ち、その上に職種ごとの差を加える

という設計が考えられます。

たとえば、

  • 共通基本給
  • +職種給【賃金差の中心】
  • +共通の役割給
  • +会社指定資格への資格給

です。

職種給には数段階のレベルを設けます。

同じ職種でも、次のように成長していくからです。

レベル状態判定の目安(例)
L1技能習得中指示を受けて、決められた手順どおりに遂行できる
L2一人前担当業務を独力で完結できる
L3上級者難易度の高い案件・イレギュラーに対応できる
L4指導できる人後進を育て、職種内の標準をつくれる
L5高度専門人材社外でも通用する専門性を持ち、事業の判断に関与する

管理工数や仕組みの理解しやすさを踏まえ、

共通化できるところは共通化し、違いが必要なところだけ変える。

この考え方が、制度を運用可能なものにします。

4社の設計を並べて比較する

ここまでの4社を、同じ項目で並べてみます。

A社
ビルメンテナンス業
B社
小売業
C社
デジタルMKT支援業
D社
リフォーム・住宅設備業
重視する軸役割行動専門能力職種別配慮
なぜそうなるか現場を安定して回すことが前提。成長には現場をまとめる人材が必要知識だけでは不十分。変化に気づいて動けるかが結果を左右する専門人材の力が事業競争力そのもの。市場でも評価される性質の異なる複数職種が同居している
賃金構成基本給+役割給+賞与基本給+役割給+成果連動賞与共通基本給+専門給+個別専門手当共通基本給+職種給+役割給+資格給
賃金差の中心役割の大きさ・責任範囲起こした行動の質×量専門能力のレベル職種+その中の習熟レベル
昇給の反映先安定した遂行を基本給の昇給へ。大きな差は役割給で行動評価を昇給へ強く反映専門グレードの昇格が昇給に直結職種給のレベルアップと役割給の両方で
社員へのメッセージ任せられる範囲を広げてほしい気づいて、動いて、周囲を巻き込んでほしい管理職にならなくても、専門性で処遇は上がる自分の職種で一人前、そして指導者へ
設計上の注意点役割を下りたときの扱いを先に決める行動評価の基準が曖昧だと不公平感が出る社内基準だけでなく人材市場も見る分けすぎると管理が破綻する

※上記はいずれも架空事例です。実際の設計は、企業規模・人員構成・現行給与の分布によって変わります。

4社の違いは「どこで賃金差をつけるか」

こうして並べると、4社はそれぞれ「賃金の差をどこでつけるか」が違います。

基本給、役割給、専門給といった名称そのものより、

どこで差をつければ、自社が社員に求めていることが伝わるのか。

ここを明確にすることが、自社の最適な賃金制度作り方の肝となります。

12問で診断|自社の賃金制度の作り方と評価基軸をチェック

ここまで読んで、「うちはどれに近いだろう?」と思った方もいるでしょう。

そこで、12問の簡単な診断を用意しました。

確認するのは、役割・行動・専門能力という3つの評価基軸と、職種別配慮の必要度です。

所要時間は約3分です。

この診断は、正解を決めるものではありません。

役割と行動の両方が高い会社もあります。3つをバランスよく重視する会社もあります。

大切なのは、

自社がどこにウエイトを置きたいのかを、言葉にできることです。

無料・約3分

自社の賃金制度、どこにウエイトを置く?

12問でわかる「賃金設計の評価基軸」診断

賃金制度を考えるときの評価基軸を、「役割」「行動」「専門能力」の3要素から整理します。あわせて、職種ごとの違いにどこまで配慮する必要があるかも確認します。
  • 登録なしで診断できます
  • 12問・所要時間は約3分です
  • 診断は「正解」を決めるものではなく、自社のウエイトを見える化するものです
賃金設計の評価基軸診断

12の質問にお答えください

QUESTION 1 / 12あと11問

診断結果を整理しています…
診断結果

あなたの会社が重視する賃金の評価基軸

役割・行動・専門能力の3要素と、職種別配慮の必要度を表示しています。

評価基軸となる3要素

三角形が外側へ広がるほど、その要素を重視する傾向が強くなります。

役割行動専門能力
役割0/100
行動0/100
専門能力0/100

職種別配慮の必要度

高い・低いに良し悪しはありません。職種ごとの差を制度にどこまで織り込むかを考えるための目安です。

低い高い
0 / 100中程度

御社の賃金設計を考えるヒント

職種別配慮について

次に整理したい3つのポイント

  1. 1|基本給は何に対して払うのか
    役割・行動・専門能力のどこまでを基本給に反映するか。
  2. 2|何をもって給与を上げるのか
    役割の拡大、行動、能力向上など、昇給の条件を整理する。
  3. 3|職種ごとの差をどこまで設けるのか
    共通制度と職種別制度の境界を考える。
診断結果は「正解の賃金制度」を決めるものではありません。
自社が何を重視して処遇したいのか、そのウエイトを整理するための参考としてご活用ください。

この診断結果をPDFで保存できます

診断スコア・評価基軸・職種別配慮の必要度・設問意図を、A4縦2ページの結果シートにまとめて保存できます。

PDF取得には、会社名・お名前・部署/役職・メールアドレスの入力をお願いしています。

ボタンを押すと、この診断のすぐ下に入力フォームが表示されます。

    診断結果はWeb上ですぐに確認できます。

    また、会社名などをご入力いただくと、診断結果と12問の設問意図をまとめた2ページのPDFとして保存できます。

    賃金制度の作りかたの本質|「何に払うか」と「何を評価するか」をつなげる

    賃金制度を考えるとき、評価制度と切り離すことはできません。

    たとえば、「行動を重視して給与を決めたい」と言いながら、評価表では知識・資格・経験年数ばかりを見ていたら、制度としてつながりません。

    役割を重視する会社なら、評価でも「どこまでの役割を担えているか」を見る必要があります。

    何に対して対価を払うのかと、何を評価するのかを連動させる。

    ということです。

    役割 → 等級 → 評価 → 賃金

    がつながって初めて、社員にも「会社は自分に何を期待しているのか」が伝わります。

    評価制度そのものの見直し方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
    ▶ 人事評価制度の見直し方|若手が辞めない「成長する評価」3つの手順

    中小企業における賃金制度の作り方|自社で「管理できる制度」にする

    賃金制度には、さまざまな要素があります。

    役割給。職務給。専門給。成果給。資格給。地域給。

    必要に応じて使えばよいのですが、入れすぎると制度は複雑になります。

    中小企業で重要なのは、

    その制度を、自社で管理できるか。

    ということです。

    誰が判定するのか。

    いつ見直すのか。

    異動したらどうするのか。

    社員に説明できるのか。

    ここまで含めて制度設計です。

    AIやシステムを使えば、集計やシミュレーションの負担はかなり減らせます。

    ただ、分かりにくい制度そのものを、AIが分かりやすい制度に変えてくれるわけではありません。

    必要なのは、理論的に筋が通っていること。

    そして、自社で運用できること。

    この両方です。

    賃金制度の作り方|5つのステップ

    最後に、実際の設計手順を整理します。

    賃金制度を設計する際の役割・行動・専門能力・職種別配慮の4つの視点

    STEP1|社員に何を期待するかを整理する

    賃金制度の作り方において、最初に決めるのは給与額ではありません。

    これから会社をどう成長させたいのか。そのために、

    • どんな役割を担ってほしいか
    • どんな行動を増やしたいか
    • どんな専門能力を高めたいか

    を整理します。

    STEP2|何に対して賃金を払うかを決める

    賃金制度の作り方の第2ステップとして、役割・行動・専門能力のどこにウエイトを置くのかを決めます。

    一つだけに絞る必要はありません。

    例えば、「基本は役割。ただし専門職には専門能力も反映する」でも構いません。

    STEP3|等級・評価とつなぐ

    納得感のある賃金制度の作り方を意識し、ステップ3では、何をもって等級を上げるのか。何を評価すれば、その給与差を説明できるのかを整理します。

    ここで、等級・評価・賃金をつなげます。

    STEP4|基本給・手当・昇給・賞与へ振り分ける

    重視したい要素を、すべて基本給に入れる必要はありません。

    例えば、

    • 役割 → 基本給・役割給
    • 行動 → 評価結果を昇給へ反映
    • 専門能力 → 専門給
    • 短期成果 → 賞与

    と分ける方法もあります。

    「何に払うか」を決めたあと、「どこから払うか」を決める。

    ということです。

    STEP5|賃金シミュレーションで確認する

    最後に金額へ落とします。

    社員一人ひとりを当てはめ、

    • 現在給与との差
    • 昇給カーブ
    • 等級別の給与レンジ
    • 将来の総人件費

    を確認します。

    制度としてきれいでも、会社が払い続けられなければ意味がありません。

    一方、現在の給与だけに合わせすぎても、未来の人材戦略につながりません。

    この両方を見ながら調整します。

    参考記事:新入社員と既存社員の賃金が逆転していないか

    賃金制度の作り方に関するよくあるご質問

    賃金制度の作り方や見直しには、どれくらいの期間がかかりますか?

    企業規模や現行制度の整備状況によりますが、等級・評価・賃金を一体で設計する場合、6か月から1年程度をみておくのが一般的です。

    賃金部分だけを部分的に改定する場合は、より短期間で進められることもあります。

    給与テーブルだけを作ってもらうことはできますか?

    給与テーブル単体を作成すること自体はもちろん可能です。

    ただし、賃金制度の作り方としては、その金額差を社員に説明する根拠がないまま表だけが存在すると、運用の段階で質問が出ます。

    等級や評価との関係を最低限整理したうえで設計することをおすすめしています。

    賃金制度を変更すると、就業規則の変更は必要ですか?

    賃金制度の作り方や見直しの内容によっては、就業規則や賃金規程の見直しが必要になります。

    また、変更内容が従業員の労働条件に不利益となる可能性がある場合は、手続きや説明を含め、特に慎重な対応が必要です。

    具体的な規程改定や手続きについては、社会保険労務士等の専門家に確認することをおすすめします。

    役割・行動・専門能力の3つは、必ず1つに絞る必要がありますか?

    絞る必要はありません。

    「基本は役割、ただし専門職には専門能力も反映する」といった組み合わせも考えられます。

    自社に最適な賃金制度の作り方において重要なのは、どこにウエイトを置くかを、会社として意識的に決めることです。

    社員数が50名程度でも、賃金制度は必要ですか?

    必要になるタイミングは、人数だけでは決まりません。

    一つの目安は、

    社長が全社員の働きぶりを直接把握できるかどうか。

    です。

    間に管理職が入り、社長が直接見ていない社員が増えてきた段階は、制度化を検討するタイミングの一つです。

    まとめ|失敗しない賃金制度の作り方は「給与テーブルは最後にする」こと

    賃金制度は、金額表を作る仕事ではありません。

    会社が社員に何を期待しているのかを、給与という対価の形に翻訳する仕事です。

    だから、順番が大事になります。

    1. 社員に何を期待するかを整理する
    2. 何に対して払うかを決める
    3. 等級・評価とつなぐ
    4. どこから払うかを振り分ける
    5. 最後に金額へ落とす

    賃金制度の作り方において、給与テーブルは、この5番目です。

    ここまで整理できていれば、社員に対して、

    「なぜ、あなたの給与はこの水準なのか」

    「何をすれば、給与は上がるのか」

    を説明できるようになります。

    賃金制度の本当の価値は、そこにあります。

    賃金制度の見直しを、何から始めるか迷っていませんか?

    「何に対して払うか」が決まると、等級も評価も賃金も一本の線でつながります。

    逆に、ここが曖昧なまま金額だけを動かすと、制度の中に歪みが生まれやすくなります。

    自社にあった賃金制度の作り方とは、給与テーブルだけを作れば完成するものではありません。
    「何に対して払うのか」「何を評価するのか」「等級とどうつなぐのか」。

    この整理ができると、自社に必要な制度の形が見えやすくなります。

    • 給与テーブルを作りたいが、根拠の作り方が分からない
    • 評価制度はあるが、賃金とつながっていない
    • 職種が増えてきて、同じ給与構造では処遇しきれない

    こんなお悩みをお持ちの企業様向けに、
    株式会社せんだ兄弟社では、60分の無料相談を承っています。
    現状をうかがいながら、御社の場合はどこから手をつけるべきか、一緒に整理します。

    等級・評価・賃金・育成を一貫した仕組みとして構築したい方は、人事制度構築支援もご覧ください。

    あわせて読みたい

    この記事を書いた人

    専田 政樹

    株式会社せんだ兄弟社 代表取締役/中小企業診断士。7&iグループにて店舗運営、スタッフ教育、マーケティング、管理部門長、労働組合中央執行委員などを歴任し、現場と本部、従業員側と経営側の双方を実務として経験。現在は組織人事コンサルタントとして、人事評価制度構築から新人・管理職の育成まで、経営方針と人材育成を一連の流れとして設計・伴走支援している。年間登壇数100日超。育成人数は延べ2000人/年。著書『働き方改革時代の若手部下育成術』。