みなさん、こんにちは!
店舗の利益改善 虎の巻【第12巻】です。
前回より「商品ロス」の
内部要因についてのお話をしております。
今回は後半戦です。
④不正な値引き→私的使用や流用、他者への便宜
※①②③については【11巻】をご参照ください。
この辺までくると相当な麻痺モードに入ってきます。
最近はJANコードで管理する値引きシールを
使用するところが増えてきていますが、
昔ながらの「○円引き」というシールを使っているお店も
まだまだあると思います。
このシールの管理方法が問題です。
生鮮系になれば日々の売り切りの際に必ず、
しかも結構な頻度と枚数を使用します。
そのため、持ち運びしやすい場所に、
それなりの量(今○枚あるなとカウントしきれない量)が
常備されています。
そして日々使用する身近な業務ツールとなっています。
従業員からすると、どうせしょっちゅう
使うのだから…という感覚です。
さてこれが問題です。
保管方法は使いやすいところに置くのは
まぁいいかもしれませんが、
現金と同じだという感覚で扱う意識が必要です。
値下げシールとはいえ、
購入するお客様にとっては
キャッシュバックしてくれる金券と同じです。
購入者にしか効能は無いとはいえ、
明らかにお金と同質の価値を持ちます。
そんなツールが身近な存在すぎて、
感覚がゆるまっているのです。
その結果さほど罪の意識はなく、
様々な不正利用が行われやすいのです。
普段から色々と値下げしてるんだから、
ちょっとくらいいいだろうと・・・・
友人、知人等の特定の人が来店したタイミングで、
シールを貼りはじめる…とか
そもそも値下げする必要のない商品にまで、
シールを貼ってあげちゃう…とか
だんだん麻痺してくると、
自分でシールをストックして、
買うものに張り付けちゃう…とか
徐々に内容は大胆なものになっていきます。
麻痺してきてしまうものなので、
慣れてくるとなんでもありになって
きてしまうのです。
こんな事件に出くわした事がありました。
アルバイトさんが上記のシールを個人でストックし、
これを貼って買い物をしようとして、
不正が発覚しました。
さてなぜ発覚したと思いますか?
レジ操作は別人がするので、
この手の値下げ不正は
いつどの商品が値下げしたかはわかりにくく、
レジさんが気づきにくい為、
発覚しにくい特性をもっています
※生鮮品などは特にその傾向が強い
ヒントは貼った商品に関係があります。
さて解答は、
「100円(当時)のコーラ」に
「30円引きシール」を貼ったんです。
コーラってセール等での価格変更はあっても
当日売り切り用の値下げシールは貼りません。
もし値下げするとしたら、
消費期限がせまった時ですが、
その前に回転していく商品です。
こんなものに貼ったら怪しいに決まっています。
ですが、そんな事すら考えなくなるほど、
麻痺してしまっていた…という事です。
こういった不正を許さない風土作りが重要です。
一度こういった空気が根付いてしまうと、
そうそうは改善できません。
⑤不正な行為の見逃し→私的使用や流用、他者への便宜
最後はこうなっちゃうよ…という話です。
④が麻痺して習慣化すると徐々に複数の人間が始めます。
すると私はやらないけどみんなやっているしねぇ…
という雰囲気になり、もう当たり前に横行していきます。
やっている人にとっては福利厚生的な意味合いにとらえ始めます。
ここで働いていると安く買えるからいいよね…と。
「違いますよ。不正です。犯罪です。」といったところで、
まあまあ固いことゆうなよ… だったり
いやいやお前もやればいいじゃん、
みんなやってんだし…といった感じに。
こうなると発覚もしにくくなりますし、
全員入れ替えるわけにもいかず、
直すのは非常に難しくなります。
正社員比率が低いほど困難を極めます。
正社員が多ければ人事異動等で、
人を入れ替えて直すという方法もありますが、
店単位で契約している非正規社員は
短期間での大量の入れ替えは難しいのです。
過去にこんな事例に出くわした事があります。
あるファミリーレストランチェーンです。
御想像通り正社員比率は非常に低いです。
その為、正社員が使用者(もちろん自分も働きますが)、
非正規社員が労働者という関係ができています。
人間関係にはやや垣根があります。
これは本当に福利厚生としてなんですが、
休憩時間に飲むドリンクを「1杯30円」で飲めるよ…
というのがありました。
これを30円支払わずに飲み放題状態になっていました。
商品に手を付けているのと同じです。
さて、さずがに社員も気がついています。
そして苦々しく思っていますが、
アルバイトに集団でへそを曲げられる事を
恐れて大胆な手が打てません。
そこで、新しく入ってきた人から
運用を正しくしようと教育を始めました。
入社し最初の1杯目の時に、
レジにいってお金を支払うよう指示します。
新人さんは財布をもってレジにいきました。
レジには先輩のアルバイトがおりましたので、
30円払おうとします。
すると「どうしたの?」と質問されます。
「??休憩時間に飲むジュースの代金を払いにきました」と
説明します。
すると「誰かに何か言われたの?」との先輩からの問いかけ。
「社員の○○さんに教わりました」と返答すると、
「あー…あいつまたそんな事を
…いいよ、お金いらないよ」と先輩の言葉。
「え?いいんですか?」と聞く。
「○○には払ったって言っとけよ」と先輩。
「わかりました。ありがとうございます」と御礼。
「いいの、いいの、ホントにお金を払っているやつなんていないから」と先輩。
うーん そういうものなのか?…と思う新人さん。
さて、ホントにこうなっちゃうわけです。
さてこのお店、こういう事が文化になっていますから、
他にもいろいろな事がおこっていました。
例えば先輩アルバイトによる新人教育。
今、何食べたい?聞かれている意味が分かりません。
作りかた教えた後はもったいから食べちゃうから、
好きなも
の選んでいいよ。
これがOKになると、
もう復習と称して手が空くとすきなものを作って食べ始めます。
工夫してオリジナルメニューまで作り始めます。
さあどうでしょう?
もう完全に仕事の中でお客様への目線はありません。
自分のデザートを作っている最中に、
お客様のオーダーが入ったら、
「何だよ もうすぐできるのに…」という心境です。
さらに進むとこれたべたら、すぐ作るね…ってな状態です。
恐ろしい状況です。落ち始めるとどこまでも落ちていき、
症状を改善するのが難しくなります。
常日頃からの体質作りをしていないと、
気が付いたときにはもうどうにもならない
ところまできてしまっています。
これが内部要因の恐ろしいところです。
ですから【第11巻】でのべた、
お客様へのサービス強化活動を通じて、
外部の万引き対策を全社で
常に続けている状況を作るのです。
悪い事を、【悪い事】だと認識させる事で、
自分もしない、他人にもさせない、
見つけたらやめさせる、
そんな風土をつくるのです。
これができれば、
営業利益は一気に改善します。
7つの利益改善メニューの中でも、
短期的に抜群の効果を期待できます。
不正が減れば減っただけ、
利益直結です。
自店でも取り組みをしたいという方は
是非お声掛け下さい。 (^^ゞ
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