「人事制度を見直したいが、自社だけで設計できるだろうか」
「コンサルタントへ依頼すると、どこまで対応してもらえるのか」
「費用は、何を基準に決まるのか」
人事制度の新設や見直しを検討し始めると、こうした疑問が出てきます。
人事制度コンサルティングについて調べると、「自社に合った制度を設計します」「制度の導入から運用まで支援します」といった説明が並びます。しかし、実際の支援範囲や進め方、誰が担当するのかは、コンサルティング会社によって異なります。
人事制度は、評価シートや賃金テーブルをつくれば完成するものではありません。会社がこれからどのような組織を目指し、社員にどのような役割を担ってほしいのかを整理し、等級・評価・賃金などへ落とし込んでいく必要があります。
そのため、人事制度コンサルを選ぶときに確認したいのは、「何を納品してくれるか」だけではありません。
自社の特性や強みをどこまで理解してくれるのか。実際に誰が担当し、どこまで一緒に考えてくれるのか。制度完成後に、自社で運用できる仕組みになっているのか。
この記事では、人事制度コンサルの支援内容、費用・相場の考え方、依頼前に見極めたいポイントを、コンサルタント側の実務に沿って解説します。
人事制度コンサルは何をしてくれるのか
人事制度コンサルの役割に、等級制度、評価制度、賃金制度などの設計がありますが、制度の部品を個別につくるだけでは十分ではありません。経営方針や事業の方向性を確認し、将来の組織体制と必要な役割を整理したうえで、それぞれの制度を一連の仕組みとして設計する必要があります。
せんだ兄弟社では、次の領域を基本的な支援範囲としています。

基本的な支援範囲
- 将来の組織体制と役割の設計
- 等級制度の設計
- 人事評価制度の設計
- 賃金制度の設計
- 制度の導入準備と運用ルールの設計
- 人事制度・評価制度・賃金制度に関する諸規程の改定・策定
※諸規程の改定・策定は、当社所属の社会保険労務士が担当します。
会社が目指す姿と、社員に期待する役割を整理し、その役割を等級・評価・賃金へつなげていきます。
人事制度は、社員を査定するためだけの仕組みではありません。会社がどこへ向かうのか、社員に何を期待するのか、どのように成長してほしいのかを伝える仕組みでもあります。
ご要望に応じた追加支援
次の領域は、会社の状況や必要性に応じて追加できます。
- 社員別の個別賃金シミュレーション
- 社員説明会の企画・実施
- 人材育成・教育制度の構築
個別賃金シミュレーションは、対象人数や分析内容によって作業量が大きく変わるため、基本的なコンサルティングとは分けてお見積もりします。
社員説明会についても、対面、オンライン、説明動画の制作など、実施形式によって準備内容が異なります。制度設計が進み、説明方法を検討できる段階になってから、内容と費用をご提案します。
人材育成・教育制度については、人事制度の構築後、ご要望があれば別のプロジェクトとして支援します。
トータル支援とは「全部を作り直すこと」ではない
人事制度を見直す際、もちろん人事制度全体を確認しますが、すべてを作り直すわけではありません。会社の歴史や文化、社員の働き方にマッチした仕組みは、全体感とのバランスを調整しつつ、積極的に活用した方がよいでしょう。
一方で、評価制度への不満が表面化していても、原因が評価シートにあるとは限りません。役割分担が曖昧であったり、等級と実際の仕事が合っていなかったり、評価結果と賃金がうまくつながっていないことが真因であるケースもあります。
まず制度全体を見渡し、
- できているところ
- 残した方がよいところ
- 問題が出ているところ
- 将来に向けて不足しているところ
を整理します。
そのうえで、優先順位の高い領域から着手します。
たとえば、合併などによって複数の制度を整理統合する必要がある場合でも、すべてを同時に実施するとは限りません。会社として賃金制度の整理を優先したいのであれば、全体とのつながりを確認しながら、賃金制度から先行して検討する方法もあります。
評価制度だけ、賃金制度だけといった部分的な支援も可能です。ただし、部分的に設計する場合でも、他の制度との間に矛盾が生じないかを確認することが重要です。
トータル支援とは、すべてを一律に作り直すことではありません。
全体を確認したうえで、良いところは活かし、本当に必要な部分へコンサルティングの工数を集中させることです。
人事制度全体の設計手順については、関連記事「人事制度は何から設計する?評価より優先すべきは「3~5年後の組織」」で詳しく解説しています。
自社だけでつくる場合と、外部コンサルが有効なタイミング
もちろん人事制度は、自社だけでつくることもできます。
経営者や人事担当者が自社の事業、仕事、社員を最もよく理解していることは間違いありません。人事制度に何を反映させるのか、最終的に決めるのも会社です。
人事制度を見直すべきタイミングや、会社の成長に制度が追いついていないサインについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
一方、自社だけで検討すると、いくつかの難しさが出てきます。
- 経営者の頭の中にある判断基準を、うまく言語化できない
- 現在いる人を基準に考え、将来必要な役割が見えにくくなる
- 社内の利害や過去の経緯に引っ張られ、議論が進まない
- 等級・評価・賃金の専門的なつながりを確認できない
- 日常業務が優先され、制度設計が止まってしまう
こうした問題が複数重なっている場合は、外部支援を検討するタイミングです。特に、合併・事業承継・事業拡大などによって組織や役割が変わるときや、等級・評価・賃金の問題が絡み合っている場合は、制度全体を整理できる第三者を入れる効果が出やすくなります。
私たちの人事制度構築支援では、こうした複雑に絡み合った課題を、経営方針から逆算して整理していきます。
外部コンサルタントの役割は、会社に代わって経営上の答えを決めることではありません。
経営者や人事担当者の考えを引き出し、現場で起きている問題を整理し、制度として説明できる形へ翻訳することです。
したがって、人事制度の構築は、会社とコンサルタントの共同プロジェクトになります。
会社側が担う作業とコンサルタント側が担う作業を整理しておくと、制度設計の知識を社内に残しながら、外部へ依頼する工数を必要な領域へ集中させることができます。
外部コンサルへの相談を検討する際は、まず自社の課題と、どこまで支援を依頼したいのかを整理しておくと、相談や比較がしやすくなります。
人事制度コンサルの費用・相場は何で決まる?
人事制度コンサルの費用は、「社員数が何人ならいくら」と一律に決まるものではありません。
同じ規模の会社でも、どこまでの支援を依頼するのか、成果物を誰が作るのか、どのような体制で支援するのかによって、必要な工数は大きく変わります。
さらに、見落とされやすいのが、会社側の意思決定の進め方です。
人事制度づくりでは、コンサルタントが素案を作れば自動的に次の工程へ進めるわけではありません。経営者や人事責任者が内容を確認し、「この方向で進める」と一つひとつ判断していく必要があります。
そのため、人事制度コンサルの費用や相場を見る際には、見積金額だけでなく、「何が含まれている費用なのか」を確認することが重要です。

1.助言中心か、成果物の作成まで依頼するか
まず大きいのが、コンサルタントにどこまでの仕事を求めるかです。
- 打ち合わせで考え方や設計方法について助言を受ける
- 会社側が作成した制度案に対してレビューを受ける
- 等級基準、評価シート、賃金表などの素案作成まで依頼する
- 社員説明資料や運用資料まで作成してもらう
では、当然ながら必要な工数が異なります。
会社側に人事制度設計の経験者がいて、制度案や資料の作成まで社内で進められる場合は、コンサルタントは論点整理、助言、レビュー、会議進行などへ役割を絞ることができます。
一方、制度設計から各種資料の作成まで依頼する場合は、コンサルタント側のバックワークが増えるため、費用も高くなる傾向があります。
つまり、見積金額を比較するときには、「コンサルティング料」という名称だけを見るのではなく、制度案や資料を誰が作るのかまで確認する必要があります。
2.準委任型か、成果物完成までを含む請負型か
契約や責任範囲によっても、費用の考え方は変わります。
一定期間にわたり、打ち合わせ、助言、設計支援などを行う準委任型では、実際に必要となった支援工数が費用へ反映されやすくなります。
一方、一定の成果物を完成させることまで含めて請け負う場合は、想定される打ち合わせや修正、手戻りなどを一定程度見込み、当初の見積金額にバッファとして含めることがあります。
したがって、「準委任と請負のどちらが安いか」という単純な比較ではなく、どこまでの責任と作業をコンサルタント側が担う契約なのかを見ることが重要です。
なお、「請負」「準委任」の法的な区分は契約書の名称だけでなく、実際の契約内容によって判断されます。ここでは、人事制度コンサルティングにおける実務上の支援形態と費用構造の違いとして説明しています。
3.誰が実際の作業を担うか|主担当・アシスタント・複数専門家
支援体制も費用を大きく左右します。
人事制度コンサルティングには、大きく分けると、経験豊富なコンサルタントが一人で一貫して担当する方法、主担当のコンサルタントとアシスタントが分担する方法、複数の専門家がチームで対応する方法などがあります。
特に確認したいのが、中心となるコンサルタント自身がどこまで実作業を行うのかです。
主担当者が打ち合わせから制度設計、資料作成まで一貫して担当するケースもあれば、打ち合わせや方針決定は主担当者が行い、制度案や資料の作成はアシスタントや別の担当者が行うケースもあります。
アシスタントを活用すれば、資料作成などの作業を分担し、作業単価を抑えやすくなる場合があります。一方で、主担当からアシスタントへの指示、情報共有、成果物の確認・修正といった工数も必要になります。
また、組織・等級、評価、賃金、労務などについて複数の専門家が関わる場合は、幅広い専門性を得られる反面、それぞれの作業工数に加えて、担当者間の情報共有や調整も必要になります。
経営会議やプロジェクトチームへの参加、社員ヒアリングなど、関係者が増える場合も同様に調整工数が増えていきます。
したがって、見積りを確認する際には、単に「何人体制か」だけでなく、「実際に誰が打ち合わせをし、誰が制度案や資料を作るのか」まで確認することが重要です。
4.実は大きい「会社側の意思決定と手戻り」
そして、人事制度構築の費用を考えるうえで、意外に大きな影響を与えるのが、会社側の意思決定です。
人事制度づくりでは、基本的に次の流れを繰り返します。
- 会社とコンサルタントで論点を整理する
- 制度の素案を作る
- 会社側で内容を検討する
- 方針を決定する
- 決定した内容を前提に、次の設計工程へ進む
この意思決定がスムーズであれば、プロジェクト全体もスムーズに進みます。
一方で、
- 素案を作ったものの、社内で判断できない
- 関係者の意見がまとまらず、何度も差し戻される
- 一度決めた内容が、後から変更になる
- 未決定のまま、次の設計工程へ進んでしまう
といったことが起こると、前工程へ戻って修正する「手戻り」が発生します。
特に注意したいのが、未決定のまま次の工程へ進むことです。
たとえば、等級制度が固まっていない状態で評価制度を設計し、その後に等級の考え方が変更になれば、評価項目や評価基準も修正しなければならない可能性があります。
つまり、意思決定に時間がかかること自体よりも、「決まっていない状態で先へ進むこと」の方が、工数の増加につながりやすいのです。
準委任型の契約であれば、こうした追加作業は支援工数として費用に反映されやすくなります。一方、一定の成果物完成までを請け負う契約では、想定される修正や手戻りを一定程度見込んだ価格設定になる場合があります。
人事制度コンサルの費用を抑えるという意味でも、制度案そのものだけでなく、「社内で誰が決めるのか」「どの会議で決定するのか」「何を決めてから次へ進むのか」を明確にしておくことが重要です。
せんだ兄弟社の費用算定方法
せんだ兄弟社では、プロジェクトの開始前にガントチャートを作成し、検討する工程、想定する訪問・打ち合わせ回数、必要なバックワークを整理します。そのうえで、プロジェクト全体の予想費用をご提示します。
契約は、原則として準委任形式の業務委託契約です。
あらかじめ決められた期日までに一方的に成果物を納品するのではなく、会社とコンサルタントがそれぞれの役割を担い、必要な意思決定を積み重ねながら進めます。
費用は、実際に支援を行った月ごとに、訪問・打ち合わせ回数を基準としてご請求します。資料作成や分析などのバックワークを当社が担当する場合は、その工数を料金へ加えます。
前述したように、社内の検討や意思決定が円滑に進み、手戻りが少なく、予定より少ない回数でプロジェクトが完了すれば、当初の予想額より費用を抑えられます。
当社が対応可能な専門領域であれば、プロジェクト途中でも相談事項を追加できます。その結果、当初計画を超えて支援が必要になった場合は、追加となった支援回数やバックワークの費用が発生します。
社内判断を保留したい場合は、双方で合意したうえでプロジェクトを一時休止し、方針決定後に再開できます。支援を実施しない休止期間には、費用は発生しません。
ガントチャートを基に、
- 現在どこまで進んでいるか
- 次に何を決める必要があるか
- 当初計画とのズレはどこにあるか
- 工期や費用への影響が出ていないか
を相互に確認しながら進めます。
せんだ兄弟社では、原則として一人の経験豊富なコンサルタントが、最初の相談から制度設計、資料確認、導入・運用ルールの検討まで継続して担当します。会社の歴史や経営者の思い、制度設計の議論を蓄積しながら進めることで、担当者間の引継ぎや情報共有にかかる工数を抑えています。
選定段階で見極めたいのは、「何をするか」より「誰がするか」
人事制度コンサルティング会社の多くは、「自社に合った制度を設計します」「制度全体を見ます」「運用まで支援します」と説明しています。
いずれも重要な考え方ですが、言葉だけでは違いを見極めにくい部分です。
そこで、依頼前には、抽象的な方針だけでなく、契約後の実態を確認する必要があります。
特に確認したい7つの質問
- 契約後、実際に主担当となるコンサルタントは誰か
- 商談時に話している人が、契約後も担当するのか
- 打ち合わせ、制度設計、資料作成を誰が行うのか。主担当とアシスタント等の役割分担はどうなっているか
- プロジェクトの途中で、担当者や作業者が変わることはあるか
- 自社の特性や強みを、どのような方法で把握するのか
- 会社側とコンサルタント側の役割分担は明確か
- 見積金額に含まれる範囲と、追加費用が発生する条件は明確か
特に重要なのが、1から4の「実際に誰が担当するのか」です。
若い担当者やアシスタント、チーム型の支援が悪いわけではありません。作業を分担することで効率化できたり、複数の専門家から幅広い知見を得られたりする場合があります。
一方、人事制度の設計では、会社の歴史、経営者の考え、現場の実態、社員への期待など、書類だけでは共有しきれない情報を積み重ねていきます。
そのため、会社の実績や提案書だけでなく、「実際に誰が打ち合わせをし、誰が制度案を作り、誰が最後まで責任を持って関わるのか」を契約前に確認することが重要です。
こんな支援ケースがあります
会社によって、人事制度の課題や優先順位、社内で対応できることは異なります。ここでは、支援範囲や進め方の例をご紹介します。
ケース1|組織・役割から評価・賃金までトータルで設計
人事制度の新設・全面的な見直しをご相談いただいたケースです。
将来の組織体制と役割を整理したうえで、等級・評価・賃金を一連の仕組みとして設計。制度同士の整合性を確認しながら、導入準備・運用ルールまで段階的に進めました。
ケース2|合併対応で、賃金制度から先行して検討
合併に伴い、複数の人事制度をどのように整理・統合するかを検討しているケースです。
最終的には制度全体を確認する必要がありますが、会社としての優先順位を踏まえ、まずは賃金制度から先行して検討。全体とのつながりを見失わないようにしながら、必要な領域から段階的に進めています。
ケース3|資料作成を社内で担い、費用を抑えたケース
制度設計に必要な文書や資料の作成を、お客様自身で担当したケースです。
コンサルタントは、検討論点の整理、設計の考え方、会議での助言、作成資料の確認に注力。お客様が対応できるバックワークを社内で担うことで、外部へ依頼する工数を減らし、費用を抑えながら進めました。
人事制度コンサルへ相談する前に整理しておきたいこと
最初の相談段階で、完成した制度案を用意する必要はありません。
「評価への不満が出ている」「給与の決め方を説明できない」「管理職の役割が曖昧」といった、現在起きている症状から相談しても問題ありません。
一方、次の項目を社内で確認しておくと、相談時に課題と支援範囲を整理しやすくなります。
- 現在、何に困っているか
- なぜ今、人事制度を見直したいのか
- どこまで見直したいと考えているか
- 現在の制度で、できている部分はどこか
- 会社側で担当できる作業は何か
- 誰が意思決定するのか
- いつまでに、どこまで進めたいか
- コンサルタントに何を期待するか
せんだ兄弟社では、これらの項目とコンサルタントの選定ポイントをまとめた「人事制度コンサル依頼前・選定チェックシート」を用意しています。
自社の課題と依頼範囲を整理する際にご活用ください。
まとめ|「誰が、どこまで、どのようにつくるのか」で選ぶ
人事制度コンサルを選ぶときは、提案された制度の内容や見積金額だけを比較しないことが重要です。
自社の特性や強みを理解しようとしているか。制度全体のつながりを見ているか。会社側が自分たちで運用できる仕組みになっているか。
そして、実際に誰が担当し、どこからどこまで関わるのか。会社側では、誰がどのタイミングで意思決定するのかも確認しておきたいポイントです。
人事制度は、会社の将来像と、社員一人ひとりに期待する役割をつなぐ仕組みです。
コンサルタントが制度を納品して終わるのではなく、会社と一緒に考え、必要な判断を整理し、自社で運用できる状態までつなげていくことが大切です。
せんだ兄弟社の「1時間・問題明確化無料相談」では、現在出ている症状やお悩みを伺い、制度全体のどこに問題があるのか、何から検討すべきかを一緒に整理します。
まだ依頼範囲が決まっていない段階でも問題ありません。まずは自社の状況を整理するところから始めてみませんか。
具体的な支援内容や進め方、支援事例を確認したい方は、中小企業の人事制度構築・改定コンサルティングもご覧ください。
